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2005.03.26

小説『逆境ナイン』

なんとなく「逆境ナイン」関連のサイトを探していたら、とんでもないものを発見しました。
なんでも、藤谷治さんという方が「逆境ナイン」のノベライズを書かれたそうで、6月に出版とのこと。
この話を仕掛けたのが小学館の石川和男さんという編集者・・・って、調べてみると「世界の中心で、愛をさけぶ」等を世に出したとんでもなく凄い人じゃないか!?
もしかして「逆境ナイン」って、知らないトコロで大変なことになっているような・・・。

ficciones のホームページ
3月10日の日記を参照のこと。

以下はサイトからのコピペです

3月24日(木)
久しぶりに石川和男さんと呑む。2月のあたまに「逆境ナイン」の試写会を見て、そのあと一回ちらっと会って以来だ。
石川さんは僕にノベライズを頼んだことを気にかけていた。ノベライズという仕事はなんとなく出版の中でもランクが低い印象がある。しかも今回は、けっこう急いで仕上げなければならなかった。藤谷は文句をあんまりいわないけれど、腹の中は煮えくり返っているんじゃないかと、石川さんは気にかけてくれたのだ。
もし、原作や映画が僕の好みや書きたいことにまるで無縁なものであったら、僕は頭に来ていただろう。また、仕上がったものが僕らしいものでなかったり、人のいうことを聞いて意に沿わないものを書かなければならなかったら、それを根に持ったかもしれない。
今回はそのいずれでもなかった。文章での独特な面白さを出して存在価値を持たせたという自負もある。だから本当に文句はないです。それに、あてがわれたものを書けといわれて、いいなりに機械的な作業をしたり、また機械的にしか書けなかったり、書くには書いたが実は不満なんだ、なんて思ったりするのは、そんなものを書く人間の才能不足を証こそすれ、褒められた態度とはいえない。
もちろん、どんなものを書いても、十全に満足なものなどありえないだろう。だけど一冊一冊の本につき、やるべきこととやりたいことを、思うさまやりきるのでなければ、その不満足は立ち現れないものだと思う。本になったものを読み返してみると、つくづく自分に能力がないなあ、ヘタクソだなあと感じる。だけど誰か小意地の悪い奴が、僕に向かって本を振りながら、「これがあなたの総てというわけですか」とでも尋ねてきたら、僕は答えるだろう。「そうです」と。答えた途端に僕は恥ずかしくなるに違いない。でもその恥ずかしさが、次はもうちょっとうまくやろうという、気概というか僻みというか、そんなものになって、それがためにいい加減な気持ちでものを書かなくなる。ノベライズだってなんだって例外じゃない。
それでまた、「これがあなたの総てというわけですか」といってくる小意地の悪い奴は、いつも自分自身の中にいるんだ。そいつはいっつも腹の中からちくちく、ちくちく僕を刺してくる。初稿をあげたとき、読み返すとき、書き直すとき、ゲラに赤を入れるとき。そのたんびに僕はそいつにサルグツワをかませるべく、原稿を睨みつける。それでも本になるとため息が出ちゃうんだから、ゲーテや馬琴になるのは諦めたほうがいいだろう。実は諦めていないんだけどね。
橋本治『大江戸歌舞伎はこんなもの』(筑摩書房)読了。面白かった。とても勉強になった。またこれは、愛情なしでは書かれえない作品だと思う。でも何かがひっかかる。書いている内容と、書いている姿勢とが、どっかチグハグだ。頭のいい人が頭の悪い人を礼賛しているような印象があった。実際にはそうじゃないにもかかわらず。


3月10日(木)
今日一日だけは、僕は自分を褒めたい。
小学館の石川さんから「ちょっとご相談なんですけど」といわれて映画の試写会に行ったのが2月の7日、その日に映画のノベライズを頼まれたのが、本日完成した。原稿用紙換算で280枚。ひと月で一冊書き上げたことになる。まったく俺くらい偉い人間は世界中探してもそういないんじゃないだろうか。
映画のタイトルは『逆境ナイン』、原作は島本和彦氏のコミックで、初出は1988年だそうだ。これは知る人ぞ知る野球スポコン漫画の傑作で、僕も読んだが驚くべき作品だった。映画も観たし台本もあるので、僕のやることが大してなかったともいえる。でも僕はコミックの台詞も台本の台詞も使わなかった。よっぽどのキメ台詞でない限り。またこのひと月は家に病人病猫が出て店もなかなか開けられないような日が続いたりして、プライベートでも神経を使った。その中で本一冊分脱稿。本当に俺は偉い。しかも手を抜いた作品じゃないんだからね。
手を抜かずにできた理由のひとつは、最近歌舞伎の台本を読んでいる成果もあると思う。中村勘九郎が勘三郎になったでしょ。あれの話をテレビで観て以来、歌舞伎に興味を持つようになった。いや前から興味はあったんだが、本腰をいれようという気になったんだ。家にあった河竹黙阿弥の「天衣紛上野初花(こう書いて「くもにまごう、うえののはつはな」と読む)」を読んだ。別名「河内山と直侍」。河内山宗俊の出てくる芝居だ。実に痛快な喜劇で、男気溢れるばくち打ちに、可憐で一途なおいらん、破戒坊主に道場主、悪い殿様、気の弱い質屋、孝行息子にドチンピラが、恋あり笑いあり、歌あり立ち回りあり、涙ありサスペンスありで、通しで観たら七幕もあるから、へとへとになってしまうだろうが、こんな面白い話はない。
そしてそれを面白くしているのは、明らかに台詞の妙である。登場人物はこれが書かれた時点ですでに紋切り型であり、話の展開も日本の物語作成原理である「因果」をしっかり踏襲している。だから先が読めるところもある。それでも面白いのは、黙阿弥の七五調が耳に心地よいばかりでなく、七五調の紋切り型によって劇をひとつの「世界」にしているからだ。これが普通の散文だったら、まあ百五十年の今には残らなかったろう。
デタラメな世界を支えるものは言葉のリズム。これは今度の仕事の理想だった。よく読んでくれれば(ノベライズを丹念に読む人もいないだろうが)影響が見え隠れしているはずだ。
本は六月に出る予定。この日記を読んだ人は、映画も観てコミックも読んで、そして僕の書いたノベライズも必ず買いなさい。よろしくお願いします、買いなさい。


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